リアル生活保護 | 那覇市役所で生活保護を申請した No.7

リアル生活保護

生活保護申請から既に2ヶ月くらいが経過し、保護申請却下から約1ヶ月が経過しました。
沖縄県はそろそろ梅雨明けする時期で、1年で最も気温が上がる時期(7月)を迎えようとしています。

生活保護申請の却下処分を受けて「これからどうしようか・・・」と、だいぶ悩みました。

生活保護の”再申請”に向けて既に書類の準備は整っていますが、ホームレス状態での保護申請が却下されたのだから何度やっても同じ結論かも知れません。
今から更に14日間~30日間という時間を掛けて、那覇市福祉事務所側の都合に振り回されて、保護再申請が却下された挙げ句に「借金だけが残る」可能性が高いです。

なぜ生活に困窮したホームレスが「借金」を背負わされるのか?私には全く理解できません。

法テラスからは「行政事案は受任できない」と門前払いされました。
もう相談できる場所は一つもありません。

さんざん悩んだ末に”やはり那覇市福祉事務所の運用方法は間違っている”という結論に至り、玉城デニー沖縄県知事あてに審査請求書を提出する事に決めました。

 

審査請求について調べた

まずは審査請求制度について調べました。

私のケースの場合、処分庁(那覇市福祉事務所)が行った行政処分(保護申請却下)の取り消しを、審査庁(沖縄県知事宛)に求める内容です。
私と那覇市福祉事務所の両者から事情を聞いて、審理員や行政不服審査会などがその内容を検討して、裁決(結論)を出してくれる制度です。

審査請求書には決められた書式(必要的記載事項)があるので、それに則り書面を作成する必要があります。
また自分の考えを第三者に上手に伝える事が重要なので、論理的で分かりやすい文章を書く必要があります。

裁決は大まかに3種類あります。
認容(処分の全部又は一部の取消し等々)
棄却(審査請求に理由が無い等々)
却下(審査請求が不適法である場合)

ハッピーエンドの場合
もし保護申請却下が取り消しになれば、訪問調査のやり直しか、そのまま保護開始になり、初回申請日まで遡った扶助費が支給される可能性があります。
私が保護申請したのは4月なので、仮に7月に審査請求が裁決されたとしたら約4ヶ月分が支給される可能性があります。

バッドエンドの場合
那覇市福祉事務所の却下処分は間違っていなかった。という事実が確定します。
その事実は「審査庁お墨付き」になるので、今後ホームレスからの保護申請は「居住実態が無い」を理由にいくらでも却下できる事になります。

 

審査請求書を提出してきた

生活保護に関する審査請求書を提出する場合は、沖縄県庁内にある「保護・援護課」が窓口になります。
必要的記載事項の要件は満たしているという事で、とりあえず受理はされました。
ホームレスからの提出だと「通知書等の郵送先が無い」ので担当者も少し戸惑い気味でしたが、私は連絡先(電話番号)は持っているので、担当者から都度ごとに連絡をくれて、通知書等は窓口に受け取りに行く事になりました。
保護・援護課の方々(担当者さん含む)は真摯に対応してくれて、大まかな今後の流れを教えてくれたり、ホームレスである私の事をちゃんと「人間扱い」してくれました。那覇市福祉事務所の「ベルトコンベヤー式の人権軽視な対応」とは大違いでした。

 

審査請求書一式

情報と資料を整理するために別記事としてアップロードしました。
審査請求書一式(約7MB)は下記リンク先でご覧ください。

生活保護まとめ | ヒロの審査請求書(令和元年6月付け)

 

提出した時点で半分負けが確定

私のようなホームレスに限らず、生活困窮者は審査請求書を提出した時点で「半分負け」が確定します。
なぜなら生活困窮者は「裁決までの数ヶ月間を待てない」からです。

審査請求制度では、審査請求書提出から裁決までに概ね4ヶ月~6ヶ月間ほどかかります。
ですが法律上の期限の定めは一部分にしか無いので、実質的には「無期限」という事です。

私は今スグにでも保護を受ける必要があるほどの困窮状態ですので、審査請求から裁決までの4ヶ月~6ヶ月間なんて待てません。
本来であれば審査請求による却下処分の取り消し(保護申請日である4月まで遡って保護費が支給される)が望ましいけど、そんな悠長なことは言ってられません。

また、那覇市福祉事務所からの保護申請却下(行政処分)は、その処分が取り消しされるまでは法的に有効(公定力)です。
という事は「裁決による処分取り消し」が確定するまでは、どれだけ理不尽な内容であろうとも那覇市福祉事務所の言い分を受け入れるしか無いわけです。

結論として、私は生活保護の再申請を余儀なくされ、
さらに初回保護申請日(4月)からの「本来であれば受け取れるべきだった数カ月分の保護費」を全て失う事になります。

たとえ認容裁決(保護却下処分の取り消し裁決)になろうとも、
どちらにせよ私が失った「時間」と「数ヶ月分の保護費」は二度と帰ってきません。

なので生活困窮者は審査請求書を提出した時点で「半分負け」が確定します。

 

法益問題

ここで問題になるのが「保護法益」です。
審査請求は、不当な行政処分によって不利益を被った人を救済するための制度なので、審査請求手続きを進めるには『救済すべき不利益』という事実が必要です(審査請求人適格)

ですが審査請求の裁決よりも、保護再申請の結論のほうが先に出てしまいます。
もし生活保護の再申請で保護開始決定されたら、審査請求手続きを進める意義を失うのでは?(保護開始によって既に救済されているので)
という問題です。

この点を保護・援護課の担当者さんに確認してみたところ、
「初回保護申請日である4月~審査請求書を提出した6月までの約2ヶ月間」に対する諮問は可能かも知れない。
という見解でした。

ですが全ては審査庁の判断に委ねられている(解釈次第)なので、現段階では何とも言えない状況です。

 

事情裁決

いくら私の主張が正しくても棄却される場合もあります(事情裁決)

行政不服審査法
第四十五条(処分についての審査請求の却下又は棄却)
3 審査請求に係る処分が違法又は不当ではあるが、これを取り消し、又は撤廃することにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、審査請求人の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮した上、処分を取り消し、又は撤廃することが公共の福祉に適合しないと認めるときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却することができる。この場合には、審査庁は、裁決の主文で、当該処分が違法又は不当であることを宣言しなければならない。

審査庁が「審査請求人の主張は公共の福祉に適合しない」と認めた時は、もう何を言っても無駄です。
個人の権利保護よりも社会制度保護のほうが優先された』という事なので、もうどうしようもありません。
お隣の中国では、きっとこんな判決だらけなのでしょうね。

 

私個人にはメリット無し

もし審査請求による「却下処分の取り消し(認容)」が裁決されとしても、今さら保護却下処分が取り消されたところで私個人には何一つメリットはありません。
私が審査請求を実行したのは、
・悪い事例を作ってほしく無い
・那覇市福祉事務所には適正な運用を行ってほしい
・本当に困っている人に手を差し伸べてあげて欲しい

という理由からです。

私は那覇市福祉事務所に改善を求めるために人柱の役を買って出たわけです。

 

無差別平等の原理?

生活と権利が保障されているケースワーカー(公務員)から見れば「日常の1業務にすぎない」かも知れませんが、私のような『路上生活者』にとっては生死が掛かった保護申請です。
ホームレスからの保護申請に対して【居住実態が無い】といった却下理由がまかり通ってしまうと、全てのホームレス達が救済されなくなってしまいます。
それこそケースワーカーの気分次第で、いくらでも却下できてしまいます。

『国民の権利』を軽んじるような那覇市福祉事務所の対応はあまりにも無責任で乱暴だと思います。

いくら救済策としての審査請求制度があるとは言え、私のケースのように「二度と回復できない不利益」が生じてしまうのが現実です。
福祉事務所からの「たった1回の行政処分」は、それほど重いものなんです。

忙しいとか、人手が足りないとか、業務の効率化とか、そんな組織側の都合だけで日本国民の人権を踏みにじられては、たまったものじゃないです。

那覇市福祉事務所は安直に結論を出したりせずに、せめて胃が痛くなるくらい悩んだうえで結論を導き出して欲しいと思います。
国民の人生が掛かっているんですから。

 

今ココ

現在は「保護・援護課窓口に書類を預けてきた」という感じで、これから「形式審査」が行われます。

那覇市役所で生活保護を申請した No.8】に続きます。。。